カビの感染?②~マラセチ性皮膚炎・外耳炎~

気温が高くなり、ジメジメする季節になりました。

最近ペットちゃんの様子に変化はありませんか?

  • 痒がることが多くなった
  • 被毛がベトベトする
  • 脱毛している
  • 耳が臭う

などの症状に、心当たりはありませんか?

それらの症状は、マラセチア性皮膚炎かもしれません!

 

◆マラセチアとは?

すべてのペットちゃんの皮膚に常在している酵母様真菌(カビ)で、

脂質(皮脂)を好みます。

皮脂が溜まりやすい部位に過剰に増殖し、痒みや炎症を引き起こします。

指の間肛門の周囲脇や顎の下皺の中などの蒸れやすい場所は、

マラセチア性皮膚炎が発症しやすい部位です。

しかし前回紹介した皮膚糸状菌症とは異なり、

他のペットちゃんや人への感染は起こりません

 

下の写真は、実際にマラセチア性皮膚炎を発症した子の様子です。

ご自宅のペットちゃんは、いかがでしょうか?

◆原因

  1. 脂性の体質
  2. 高温多湿の環境
  3. 基礎疾患による併発   などが挙げられます。

日本では、高温多湿な環境による春~秋にかけて症状が見られることが多いです。

ただし、暖房機の一番暖かい場所を占領しているペットちゃんは、冬場でも痒くなります。

原産が外国のペットちゃんは、特に注意が必要です

《どんな犬種・猫種が、発症しやすいのか?》

①耳が垂れている犬種

  • ダックスフンド
  • トイプードル
  • キャバリア  

②アレルギー疾患が発症しやすい犬種

  • 柴犬
  • チワワ
  • フレンチブルドッグ

③耳が折れている猫種

  • マンチカン
  • スコティッシュフォールド
  • アメリカンカール

 

上記の犬種・猫種はあくまでも一例です。

ご自宅のペットちゃんに該当する、犬種・猫種はいましたか?

 

◆治療法

  • シャンプー療法
  • 内服薬での内科療法
  • 基礎疾患の治療

まずは体への負担が少ない、シャンプー療法から始めていきます。

症状の程度に応じて、治療内容は変更していきます。

放置し過ぎると、趾間(指と指の間)や耳道が腫れて痛みを生じるたり、

細菌の二次感染によって化膿したりする場合があります。

また痒みのコントロールが不十分な時は、ペットちゃん自身で掻き壊してしまい、

更に悪化してしまいます。

レベルに応じた治療をしていきましょう。

 

当院では8月末まで、デイリーケアキャンペーンを実施しています。

この機会に、自宅でのケアを始めてみるのはいかがでしょうか?

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カビの感染?~皮膚糸状菌症~ 

お家のペットちゃんにフケ・かさぶたを伴った円形の

脱毛が出来ていたりしませんか?

 

その症状、実は「カビ」の感染かもしれません・・・

 

 

〈カビ=皮膚糸状菌症とは?〉

皮膚糸状菌症とは、糸状菌という真菌「カビ」に感染して皮膚に症状が出る病気です。

〈原因〉

 感染の原因は、皮膚糸状菌症に感染しているペットちゃんの抜け毛、フケに

 接触することによって感染します。

 特に猫ちゃんはもともと常在菌として、保有していると言われています。

 皮膚バリアー機能低下や免疫が低下している時に感染しやすく、子犬・子猫・高齢、

 多頭飼いの子に発症しやすい傾向にあります。

 

〈検査方法〉

・ウッド灯検査・・・・感染した毛に光を当てると

 (簡易検査)      発光します。 

              ※真菌の種類は多数ありますが、

             ウッド灯で発光する菌は1種類です。

・毛を顕微鏡で観察・・毛をKOHでとかして観察すると菌糸が毛の中に

             見えることがあります。

・培養検査・・・・専用の培養検査キットに被毛を採取し、培養培地の色の変化と、

            菌の増殖コロニーの様子で確定診断出来ます。

〈治療方法〉

・抗真菌薬・・・・内服による治療。

           ※肝負担がある為、当院の方では始めは

                      外用治療から先に行っております。

 

・薬用シャンプー・・抗真菌薬含有のシャンプー剤使用での、外用療法。

・外用薬・・・・・・  抗真菌作用のある軟膏やローションを塗布。

 

皮膚の治療と共に室内に落ちた被毛や

     フケの清掃・消毒、手洗いを徹底していきましょう!

 

 

 最後に、

皮膚糸状菌症は人にも感染する、人獣共通感染症です!

感染したわんちゃん、猫ちゃんと接することで人に感染してしまうことがあります。

皮膚に赤い円形の皮膚症状(リングワーム)ができた場合は、皮膚科へのご受診をお願い致します。

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狂犬病予防注射、もうお済ですか?

♦今年も狂犬病予防注射の接種時期になりました。

 

毎年、4月から6月が狂犬病予防注射の接種時期です。まだ接種されていない方は、6月末までに計画的に接種を進めましょう。

 

従来、鶴岡市の各地域において、自治体から予告された日時と場所で、主に4~5月中に接種する”集合注射”が行われてきましたが、今年もコロナ禍の影響のため、一部地域を除き、動物病院で接種することになります。

 

 

なお、フィラリア予防時期と重なるこの時期は、動物病院が混みあうことが予想されます。時間に余裕をもって6月末までに接種するようにしましょう。

 

動物病院で狂犬病予防注射を受けるには

3月末頃に自宅に届いた”はがき”と接種代金が必要になります。

(※各動物病院で価格は異なる場合があります。各動物病院にお問い合わせください。)

また、このはがきには下部に問診欄がありますので、そこに必要内容をご記入の上で、ご持参ください。

 

接種後に注射済票をもらいます。

この注射済票は再交付されませんので、なくさないように、首輪などに取り付けることが推奨されています。

注射済票の色は、毎年変わります。今年は赤色の票が交付されます。

この票が狂犬病予防注射の接種済みの証明になります。

ハガキが来ない・・・?

 

ご自宅にハガキが届いていないという方は、”登録”はお済でしょうか?

 

ペットショップなどから迎えた子犬ちゃんたちは、自動的に登録されるわけではありません。

飼い主さん自身で、各市町村に登録の手続きをしていただく必要があります。

 

動物病院内でも新規登録手続きは可能です。

ワクチンスケジュールに沿って計画的に進める場合もありますので、スタッフまでご相談・お問い合わせください。

登録が済むと、”鑑札”という金属の札が交付されます。これは、人のマイナンバーのようなもので、番号は一生に1回になり、その子の番号になります。そのため、亡くなってしまった場合も届け出が必要になります。

♦なぜ登録や予防注射をしないといけないの?

 

狂犬病予防法という法律があります。

同法の第四条(登録)に、”犬の所有者は、犬を取得した日(生後九十日以内の犬を取得した場合にあっては、生後九十日を経過した日)から三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長(特区にあっては、区長、以下同じ)に犬の登録を申請しなければならない。”ことが定められています。

 

さらに、同法の第五条(予防接種)には、”犬の所有者(所有者以外のものが管理する場合には、その者、以下同じ)は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければいけない”ことが義務付けられているからです。

 

現在、日本には、狂犬病の発症例がないとされていますが、アジアをはじめ、世界各国でいまだに狂犬病による死亡者が、年間でおおよそ5万5千人を数えます。

日本では、世界の国々と渡航や貿易が行われ、たくさんの人や物や動物が他国と往来しており、いつ日本に狂犬病が入り込んでもおかしくありません。

 

そのため、もし万が一、狂犬病が日本で発生した場合に備え、法律に基づいて、日ごろから飼い犬がどこに何頭いるのか把握しておくことが重要になります。つまり、犬の登録が重要になるのです。

 

♦どうして犬だけ注射をするの?

 

狂犬病はすべての哺乳類に感染しますが、蔓延の原因となる動物は限られており、アジア地域など流行地域での主な蔓延源は犬だと言われているからです。

 

飼い犬に予防注射を受けさせることで犬の蔓延が予防され、人への被害を防ぐことができます。そのため、日本に万が一狂犬病が侵入した場合の備えて、予防注射が義務付けられています。

 

♦狂犬病に感染した犬や人の症状は?

 

狂犬病に感染した犬の症例として、狂騒型と麻痺型と言われる2つのタイプが以下の通りあります。

狂騒型極度に興奮したり、攻撃的な行動を示します。

麻痺型後半身から前半身に麻痺が広がり、食物や水が飲み込めなくなります。

 

一方、狂犬病に感染した人の症状は、

強い不安感、一時的な錯乱、水を見ると首の筋肉が痙攣する(恐水症)

冷たい風でも同様に痙攣する(恐風症)

高熱、麻痺、運動失調、全身痙攣などが起こります。

その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。

 

狂犬病は、一旦発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。

 

現在は、日本にはない病気ですが、もし狂犬病が国内に侵入してしまった場合、新型コロナウイルス感染症とは比較にならないほど、多くの命が失われてしまうことが懸念されます。

 

つまり、日ごろからの予防が重要になります。

犬の登録をし、毎年1回の狂犬病予防注射を受けましょう。

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予防が大事!フィラリア症とは?

★フィラリア症とは?

フィラリア症とは、

“蚊から感染する”病気で、犬糸状虫という

寄生虫が、主に心臓や肺の血管に寄生し、

心臓・肺・肝臓などの機能に障害が起こり、

最終的には死に至ることもある怖い感染症です。


★どうやって感染するの?

①蚊が感染犬を吸血

 フィラリアに感染したわんちゃんの血を吸って、

 その時にフィラリアの赤ちゃん (ミクロフィラリア)も一緒に

 蚊が吸います。

 ↓

②蚊の体内で発育

 蚊の体の中でフィラリアの赤ちゃんが成長。

 ↓

③感染

 その蚊が違うわんちゃんを吸血する際にフィラリアがわんちゃんの

 体内に入ります。そしてわんちゃんの体内でさらに成長し

 3~5か月で心臓や肺動脈に寄生します。

 


★予防法は?

フィラリア症は、1か月に1回、予防薬を投与することで

感染を防ぐことができます。

予防薬を飲めば、”1か月フィラリアに感染しない”と思っている方も

多いですが、実は、これは間違いで、1か月に1回、投薬しているお薬は、

”体内に侵入したフィラリアの幼虫が、成虫になる前に退治することを

目的に服用する駆虫薬になります。

 

予防薬の種類は?

予防薬には、錠剤・おやつタイプ

ノミダニも一緒に予防できる

オールインワンタイプなど

様々な種類をご準備しております。

犬ちゃんの好みや、オーナー様の

投薬のしやすさなど相談しながら

ピッタリのお薬をお選びいただけます。

★投薬前には検査を!

予防薬を投薬する前には、

フィラリアに感染していないか

検査が必要です!

フィラリアの成虫から生まれる

幼虫(ミクロフィラリア)が

大量に体の中にいることを

知らずに、予防薬を飲ませてしまうと、

一度に駆虫された大量のミクロフィラリアの

死骸が血管内で詰まり、最悪の場合、

                                                     犬ちゃんがショック症状を引き起こし、

                                                     亡くなってしまう 危険性があるためです。

★予防期間はいつからいつまで?

春になり、蚊の活動が活発になった1ヶ月後から服用を開始することで、

それまでに感染したフィラリアの幼虫を駆虫することが出来ます。

その後は、1か月に1回、定期的に予防薬を投薬することで

予防が可能です。

ですが、予防薬もばっちり準備OKでも、

しっかり投薬できていないと意味がありません。

予防していたはずなのに、なぜか翌シーズンにフィラリア感染!

ということになりかねません・・・

その予防失敗例を挙げてみました。

×予防失敗例×

1、途中で駆虫薬を飲ませ忘れた!

2、10月で駆虫薬を辞めた!

3、 お薬は投薬できたが、直後に下痢や嘔吐してしまった!

 ⇒せっかく飲んでもお薬が効く前に体から出てしまっては予防できません!

わんちゃんの体の中でフィラリアの幼虫がどんどん育ち、

結果来年の春には、フィラリア症に感染ということも…(ToT)/~~~

 

★最後の投薬が大事!

特に気を付けていただきたいのが、最後の投薬です!

予防時期=蚊の活動シーズンではなく、

蚊の活動開始1か月後から蚊の活動終了1か月後までが投薬期間になります。

(蚊の活動シーズンはこの地域ではおおよそ4月~10月下旬

または11月初め頃です。)

 蚊の姿を見なくなってから1か月後の投薬が、

とても大切な投薬になります!!

1か月ずつ後ろにずれるのは、フィラリア薬は"予防"ではなく、

感染後に対処する"駆虫"だからです。

 

※今年は、暖冬だったため、3月下旬には蚊の発生報告も!

そのため、1か月後の4月から予防薬投与を始めたほうが確実 だったと

いうわけです。

 

そして、おそらく、今年の最後の蚊を見るのが10月下旬~11月上旬

仮定すると最終投与は、蚊をみなくなった1ヶ月後なので

11月下旬~12月上旬までとなりますよね!


正しい知識を持って、今年もしっかりフィラリア予防を行いましょう!

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そろそろノミ・ダニ駆虫を!

寒い冬も終わりが見えてきて、徐々に暖かくなってきました☆

そうなると活発になってくるのがノミやダニの外部寄生虫です・・・

 

ノミやダニは、ペットちゃんに寄生し血液を吸血し、寄生されたペットちゃんは強い痒みに襲われます…

しかし、痒いだけでは終わらないのがノミ・ダニの怖いところ!

彼らは感染症の原因になるウイルスや病原体の運び屋なのです!

 

今回は、ノミ・ダニが引き起こす病気についてお話です。

 

まずは、近年話題になっている「重症熱性血小板減少症」

2011年に中国で発見され、2013年に日本で初めて感染者が見つかった比較的新しい感染症です。

山などに行き、直接ダニに咬まれることでも感染しますが、このウイルスを持ったダニにペットちゃんが咬まれ、吸血の際にウイルスをうつします。

そしてそのペットちゃんたちに、私達人間が咬まれたり、傷口等を舐められたりすると、唾液によって感染します!これは唾液中にウイルスがいるためです。 

◆病気の飼い犬のお世話をしていた男性が感染

◆野良猫に咬まれた女性が感染・死亡したとの報告もあります。

 

そしてなんと!山形県でもこのウイルスを持ったマダニが確認されました!決して他人ごとではありません・・・

2022年は、全国で77人が感染、うち9人がこの病気で「亡くなって」います。

2013年からの累計では763人が感染し、そのうち92人が亡くなっており、死亡率としては8~9人に1人が亡くなる計算でとても死亡率が高いです。

 

マダニは、草むらがあるところならばどこにでも潜んでいます。

お散歩に行くわんちゃんや猫ちゃん達は要注意です!

 

 また、重症熱性血小板減少症の患者は、マダニが活発に活動を開始する「5月~8月」に多く発症することも報告されています。

 

 その他にも、赤血球を壊し貧血などを引き起こす病気(バベシア症)や発熱や食欲不振、全身性の痙攣、関節炎などを起こす病気(エーリヒア症)など全てマダニが媒介します!

ノミもかゆいだけでなく、人にもうつりリンパ節の腫れや発熱などを引き起こす「 猫ひっかき病」や、重症化すると消化器症状を引き起こす「瓜実条虫」はノミが媒介します!

  

つまりノミ・ダニがついてからでは遅く、ノミ・ダニに吸血される前に対策をとることが大事なのです!

  

今年は、暖冬の影響もあり、ノミ・ダニの活動開始の時期が早まることが予想されます。

ノミは13℃超えると活発になるので3月とはいえ、注意が必要です!!また、他にもノミ・ダニは様々な感染症を媒介し、ペットちゃんの体調を崩してしまい、最悪亡くなってしまうものもあります。

 

ノミ・ダニは気温が高くなる春先から秋頃まで活動するので、そろそろ駆虫が必要です。

当院でもおやつタイプや、3カ月効果が持続するもの、スポットタイプなどを取り揃えています。

その子にあった駆虫剤で大切なペットちゃんを怖いノミ・ダニから守ってあげましょう!

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